津波が残して行ったものとは。それは建物の破壊、人の命、瓦礫の山。しかし現場に行って分かった事はその土地に住む人達の不安です。突然生活環境が変わる恐ろしさを身を以て体験してきました。自然災害は誰も防ぎようがありません。やはりその為に最善の準備をしておく事が最低条件だと感じました。
現地の人に直接話を聞いて廻りました。皆さんが必ず共通の事をお話ししてくれました。突然の事ですから余裕が無くなるからそれが一番怖いと言う事でした。その為に普段から意識出来る環境や準備を完璧にしておく事が大切と言われていました。少しでも多くの人達にそれをとにかく伝えて欲しいと言う事でした。
今の時代どの家もかなり地震対策がなされていると感じました。耐震、免震、制振など日本は地震の国だけあり各メーカーは研究に研究を重ね造り上げています。実際に家が崩れているのは古い建物かもしくは津波の影響で倒れているだけでした。全ての地域がそうだったとは言えませんが、ただ言える事は、震災が起きた後も家に戻り生活を始める人が多いのだと感じました。そしてもう一つは家を失い仮設住宅に住む人達の悩み、どこに住むのか、新しい家の為のお金の問題、仕事の問題、学校の問題、ふるさとの問題など多くの事を抱え生きて行く。僕らには見えない剥がれているのはタイルではなく心だと感じました。
ものが壊れ復旧する場所とされていない場所がありました。優先順位、労働者の問題、賃金の問題、材料の問題、すぐ隣の工場はもうすぐ再開なのにすぐ横では何も変わっていない場所も多くありました。これは工場のみの話ではなく人や家族も同じ状況になっているのです。その違いは何か、それが少し分かった気がしています。
これからのある子ども達の事を考えさせられる風景を見ました。写真ではあまり分からないかも知れませんが滑り台の船の右側が折れ曲がっています。あるお宅のお話です。地震直後から何かを持っていないと不安で何も出来ない子どものお話を聞いてきました。ぬいぐるみやタオルでもいいから何かを持っていないと震えるそうです。地震が揺らしたものは家や地面だけでは無く、また余震はテレビやラジオから聞こえてくる時だけではなく、どこかでいつも幼い子ども達の心の中で起こっている事に気付きました。